シラバス参照

シラバス年度 2024 
科目分類  
科目コード 9227 
科目名 社会言語学研究 
単位数
開講期 前期 
担当教員

高野 照司

備考  



授業の目的および概要
ことばのバリエーション学

 言語学の主要な研究目標は人間の備え持つ「言語能力」の解明にあると言える。その目標を達成するために、理論言語学(例えば、生成文法理論)が母語話者の直観や内省をその拠り所としてきたのに対し、社会言語学は社会的脈絡(コンテクスト)における自然で無意識的な言語運用を土台に「言語能力」をよりダイナミックに捉える言語理論の構築を試みてきた。本講義では、実際のことばの使用におけるバリエーションや変化を司る社会言語学のコア理論「変異理論」(Variation Theory)について、その基礎から応用を概説しながら、社会的特性を含めた言語能力の実像を把握することを目的とする。
 学生によるテキスト内容(英語圏でも使われる入門書(洋書)および科目提供者の執筆論文)の概要の口頭発表(小節を分担)と担当者による解説や補足を軸に展開する。 
授業方法
1  講義 1  演習
   
 
 テキストの指定箇所の概要の口頭発表(小節を分担)、補足解説、及び、ディスカッションを行う。学期末レポートとして、独自の研究テーマに基づいた調査計画を立案する。 
アクティブラーニングの手法・内容
   
1  ディスカッション・ディベート  
1  プレゼンテーション 1  実習、フィールドワーク
※ 「反転授業」とは知識習得の要素を授業外に済ませ、知識確認等の要素を教室で行う授業形態になります。  
到達目標
 ことばのバリエーションに関する研究においてこれまで重要とされる研究成果に精通するとともに、独自の研究テーマを発掘し、調査プロジェクトを立案すること。 
授業計画
01 第 1回 オリエンテーション(講義計画、教材、学生発表、学生プロジェクト、評価方法等)、変異理論 
02 第 2回  言語変異(概説) 
03 第 3回 言語変化(概説) 
04 第 4回 社会的要因(1): 社会階層、性別、スタイル・レジスター、流動性、社会網 
05 第 5回 社会的要因(2): 実践共同体、人種・民族性、メディア 
06 第 6回 言語変化の法則性 
07 第 7回 言語内的要因(1): 音韻、形態、統語、意味 
08 第 8回 言語内的要因(2): 文法化、語彙的要因、イグゼンプラーモデル 
09 第 9回 調査方法: コーパス構築 
010 第10回 調査方法: 調査倫理 
011 第11回 計量的分析(1): 計量分析諸モデル 
012 第12回 計量的分析(2): 事例研究 
013 第13回 計量的分析(3): Variable Rule Program 
014 第14回 計量的分析(4):  Variable Rule Programの新展開 
015 第15回 比較社会言語学 
成績評価方法
授業内発表(50%)、ディスカッションへの貢献度(20%)、及び、社会言語学調査計画の立案(30%)で総合的に評価する。 
課題に対するフィードバック
提出された課題に対し、コメントを付し、面談を通してフィードバックを与える。 
事前・事後学習・必要時間(講義1回あたり)
各授業回につき、2時間の事前学習、4時間の事後学習を必要とする。
・毎時間、丁寧にテキスト(洋書)を精読し、要点や疑問等を明らかにした上で講義に臨むこと。
・講義内容に関連するテキスト以外の文献・参考書・論文等を各自で読み進め、学期末レポート(調査計画の立案)の準備をしていくこと。 
事前学習 2  時間 事後学習 2  時間
教科書・参考書
教科書: Tagliamonte, Sali A. (2012). Variationist Sociolinguistics. Wiley-Blackwell. 及び、講義提供者の執筆論文。
参考書等:① Meyerhoff, Miriam. (2011). Introducing Sociolinguistics. 2nd Edition. New York: Routledge ② 日比谷潤子(編著)(2012)『はじめて学ぶ社会言語学』ミネルヴァ書房 ③『応用言語学事典』研究社 ④ Holmes, Janet. (2013). An Introduction to Sociolinguistics. 4th Edition. (2013). Routledge. ⑤ Chambers, Jack K. (2003). Sociolinguistic Theory (2nd Edition). Blackwell. 
注意事項
・後期に開講される「社会言語学演習」とセットで履修してください。「社会言語学演習」では、本講義で得られた基礎的知見をもとに、学生各自が小規模の調査プロジェクトを立案・遂行し成果を発表してもらいます。分析に関するデータセッションなども行い、最終的には研究成果を小論に仕上げることを到達目標とする。
・授業内で英文の精読・輪読は行わないので、受講者は毎時間扱う箇所を各自で入念に読んで理解しておいてください。 
参照リンク
DPとの関連・ナンバリング
院文学DP1.DP3 


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